森林資源の循環と経済

木を切らない…ってどういうこと?

下のタイトルは、(財)日本住宅・木材技術センター顧問上村武氏の著書「木づくりの常識・非常識」からの抜粋です。 少し重いですが私どもの話の前に、まず読んでみてください。

 

□ 木を切らないとはこういうことです・・・。

1992年 リオデジャネイロ(ブラジル)で開催された地球サミットの「森林に関する原則声明」ですべての森林についての保全と持続可能な経営に関する最初の世界的な合意がなされました。

以下は、森林の多面的な機能である6項目に関するバランスの規範を示したものです。

 1. 木材の生産
 2. 水土の保全
 3. 動植物の保護
 4. 風致景観の保全
 5. 地球温暖化の防止
 6. 大気汚染の防止

重要なことは、単純に森林における伐採禁止のみに視点を置いていては都市における環境保全上の役割は見えてこない。
熱帯多雨林・天然林の慎重な保全だけでなく「持続可能な資源」として人工造林木の利用・更新との共存共生が重要であるということです。

ここで問題を分けて考えてみましょう。

 

A)発展途上国・・・と呼ばれる地域。

深刻なのは、途上国と呼ばれる地域で、熱帯多雨林は一度伐採してしまうと再生が困難なうえに、木材の消費量の80%が「生活エネルギーの薪炭用材」として使われていることです。
人工の増加=資源の枯渇となってしまいます。
灯油やガスを使ったコンロやストーブが当たり前のようになっている、われわれ日本人の感覚で考えてはいけないのです。豊かでない地域の人にとって、環境より生活が重要なのです。

こうした地域で、単純に「木を伐採してはならん!」といったらどうなるのか? 考えてみてください。 外国からの発注によって支えられている林業従事者は、何を生活の糧にしたらいいんでしょうか?
『他に仕事を探せ・・・』といえるでしょうか?
多くの場合、焼畑農業へシフトしてしまい、利用価値がある木材が「肥料として」燃やされて灰になってしまうのです。
(土地が肥えているわけでもなく、肥料にお金をかけられないのです。都市生活者の常識は通用しません)

 

B)先進国・・・と呼ばれる地域。

木材生産を目的とした森林の蓄積量は数字だけを見れば増加傾向にあります。とくに日本においては戦後に植林された人工造林木に依るところが大きくなっています。一見問題がないように思えますが、「林業活力の低下」という大きな問題があります。
森や林はきちんと手をかける必要があります。そして、手をかけてくれる林業が成立つからこそ、使う分を植えて育てることが可能であり、「優良な木材の持続的な確保」と「炭素資源としてのストックの拡大」が期待できるのです。

大切なことは、経済と環境は密接に関連していることを理解して、
極論に走らず折り合いをつけ「育てながら使う」ことです。